Southwest Society of Periodontists 2024
先週末はテキサス州を拠点とする Southwest Society of Periodontists 学会に参加してきました。アメリカ歯周病学会がアメリカ国内では最大組織ですが、それと別に西海岸地区、南西部地区、北東部地区等でそれぞれの地域で学会組織が存在しアメリカ歯周病学会が成り立っています。その中でも、私が拠点とするテキサス州ヒューストンは南部地区に含まれ比較的大きな組織となっております。この南西部はテキサス州の他にオクラホマ州、ルイジアナ州、コロラド州、ネブラスカ州が存在し年に二度の学会を開催しており、ミーティングには 120-130 名ほどの参加者がテキサス州ダラスに集結します。過去の招待演者には Dr Chambrone, Dr Allen, Dr Rosen, Dr McGuire, Dr Sheyer 等が講演を行いました。今年のミーティングでは日本人初の招待演者である米国歯周病専門医である二階堂先生がインプラント周囲炎について見事な講演を行いました。2025 年のミーティングでは Dr Zadeh と私が Join presentation を行う予定です。
今回は古典文献に詳しい先生であればご存知の Lingual Approach 有用性を提唱した Dr Tibbetts に Southwest Society of Periodontists 学会から多大なる貢献を称し賞を授与しました。その中で彼の若い歯科医師へのメッセージが印象的で、”歯周病専門医として最も大切にすべきことはインプラント治療、歯肉退縮治療だけに特化するのではなく、歯を歯周病から守り保存するための治療の重要性を大切にしていくべきだ。”とお言葉がありました。米国で歯周病専門医として臨床を行ってますが、歯周炎治療を治療することを目的として紹介される患者の数は、インプラント患者と比較すると多くはありません。アメリカ歯周病学会で扱われるトピックも歯周炎治療が大きく特集されることも稀になってきました。インプラント、デジタル、骨造成、歯肉退縮治療のような派手なトピックが人気を増しております。現在も多くの方々が世界で歯周炎に悩まされています。歯周病専門医の真骨頂であるべき歯周炎治療に対する情熱は決して忘れてはいけないという Dr Tibbetts のメッセージがとても強く、歯周炎治療をしっかりと学びアップデートし、患者に提供していく重要さを改めて感じ身が引き締まる思いでした。
天然歯を保存する重要性を意識しつつ、インプラント治療の長所を利用しながら患者の主訴を考慮し機能と審美の改善を図ることができるのが、良い歯科医師の定義ではないかと思います。
Southwest Society of Periodontists 日本人初招待演者の二階堂先生と学会実行委員長 Dr Sajadi。